不動産売却コラム

親族間売買はみなし贈与扱いになる?みなし贈与になる条件と回避策を解説

親族間売買はみなし贈与扱いになる?みなし贈与になる条件と回避策を解説

親族間の取引は、売却価格や支払いの実態が不自然な場合、贈与として扱われることがあります。

この記事では、親族間売買がみなし贈与になる基準と、避けるためのポイントを解説します。

 

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親族間売買はみなし贈与になる?

親族間売買は通常の不動産取引よりも「価格の妥当性」や「資金の流れ」が疑われやすく、税務署からみなし贈与と判断されるリスクがあります。
ここでは、「みなし贈与とは何か」「どのような取引が危険なのか」を整理し、判断の目安をわかりやすく解説します。

みなし贈与とは?

みなし贈与とは、形式上は贈与に見えなくても、実質的に「財産を無償または著しく有利な条件で移転した」と税務署が判断した場合に、贈与税の対象として扱われる仕組みです。
本来の贈与は「無償で財産をあげること」を指しますが、親族間売買のように“売買”という形式をとっていても、以下に該当すると贈与と同じ扱いになります。

親族間売買が贈与と判断される主なケース

親族間売買では、売買価格の妥当性や支払い状況に不自然な点があると、贈与と判断される可能性が高くなります。特に次のような取引は、税務上の指摘を受けやすいため注意が必要です。

みなし贈与と判断されるケース

  • 時価より大幅に安い価格で売買している
  • 本来の売主が支払うべき費用を、買主が肩代わりしている
  • 売買契約はあるが、支払いの実態がない(未払い・遅延)
  • 売買価格の根拠となる資料がない(査定書・固定資産税評価など)
  • 相続の直前や直後に行われた売買

 

親族間売買が認められるケース

一方で、適切な手続きと価格設定を行えば、親族間売買は“普通の売買”として税務署から問題なく認められます。

贈与とみなされにくい条件

  • ・不動産の売買価格が時価と大きく乖離していない
  • ・価格の根拠が明確
  • ・売買代金の授受が実際に行われている
  • ・買主の資金源が説明できる(預金、ローン、贈与税申告済みの資金など)
  • ・独立した契約行為として売買契約書・領収書・ローン契約が揃っている

 

親族間売買がみなし贈与と税務署が判断する条件

親族間売買が贈与と判定されるかどうかは、税務署が「時価との乖離」「取引の実態」「資金の流れ」の3点を中心に確認します。
ここでは、税務署がどのような点を見てみなし贈与と判断するのかを具体的に説明します。

適正価格かどうか(時価との乖離)

売却価格が周辺の相場と大きく差がある場合、みなし贈与と見なされる可能性が高まります。

税務署が見る主な基準

  • 路線価や固定資産税評価額などの公的な価格指標
  • 地価相場
  • 近隣の成約事例

 

一般的に時価から2〜3割以上安く取引した場合、差額部分は贈与と見なされる可能性が高まります。
例:時価3,000万円の家 → 2,000万円で購入した場合、差額1,000万円が贈与と判定されるリスクがある。
そのため、査定書などで価格の根拠を示すことが重要です。

取引の実態があるか

売買契約書が存在していても、お金のやり取りが実際に行われていなければ不動産売買として認められません。

実態が疑われるケース

  • 売買代金が手渡しで行われ、証拠がない
  • 買主が支払いを遅延し続けているもしくは未払い
  • 売主が代金を受け取っていない
  • 代金を実質的に返金している

 

税務署が重視するのは、代金のやり取りが実際に行われているかどうかです。振込記録や領収書、ローン契約書が揃っていれば、取引の実態を証明しやすくなります。

資金の出どころが明確か

買主が支払った資金の“出どころ”が説明できない場合も、贈与を疑われます。

  • 買主が自身の収入に対して不自然な高額物件を購入している
  • 売主がローン返済を肩代わりしている
  • 実際には親の資金を使っているが、書類上は子の購入になっている

 

不自然な資金移動がある場合、税務署は優先的に調査するため注意が必要です。

贈与税が発生する場合の計算方法と申告方法

親族間売買で贈与と判断されると、差額に対して贈与税が発生します。

贈与税の計算式:
贈与税額 =(みなし贈与額 − 基礎控除110万円)× 税率 − 控除額
税率は贈与額に応じて 10%〜55% と段階的に上がります。

例:みなし贈与額が1,000万円の場合
・1,000万円 − 110万円 = 890万円
・税率:40%(控除125万円)
→ 税額:231万円

申告の流れ

  • 贈与があった年の翌年2月1日〜3月15日に申告
  • 税務署へ申告書を提出
  • 納税は原則一括

 

親族間売買でみなし贈与を避けるための対策

親族間売買は、適切な手続きを踏めば、みなし贈与と判断されずに通常の不動産取引として成立させることができます。
この章では、トラブルを未然に防ぐための具体的な対策を解説します。

適正価格で売買する

みなし贈与を避ける際に最も重要なのは、「適正価格」で売買することです。

適正価格を証明するための基準

  • 不動産会社による査定書
  • 固定資産税評価額や相続税路線価
  • 近隣の成約事例データ
  • 公示地価

 

時価より安く売る事情がある場合は、価格の根拠や老朽化・修繕状況などの減価要因を資料として残しておくことが大切です。

実際の取引を証明できる書類を準備する

取引の事実を示す記録が不足していると、不動産売買そのものが正しく行われたと判断されにくくなります。

揃えておくべき証拠

  • 売買契約書
  • 売買代金の振込記録
  • 領収書
  • ローン契約書
  • 残高証明書

 

銀行振込の記録は「誰が支払い、誰が受け取ったか」を示す確かな証拠になります。現金手渡しは記録が残らず、みなし贈与を疑われやすいため避けましょう。
また、分割払いの場合も、支払いスケジュールと実際の入金記録を残し、途中の未払いが発生しないように管理することが重要です。

専門家に事前相談する

親族間売買は、一般の不動産売買よりも税務リスクが高く、専門的な判断が求められます。

相談すべき専門家

専門家 主な役割
不動産会社 適正な売買価格のアドバイス、売却全般のサポート
税理士 贈与税・譲渡所得税などの税務面の判断とアドバイス
司法書士 名義変更や抵当権抹消などの登記手続き

 

特に税務署への説明が必要になる可能性があるため、「不動産取引をどのような資料で証明すべきか」を税理士へ確認しておくと安心です。

親族間売買で注意すべき税務・法律上のリスク|ケース別に解説

親族間売買には、みなし贈与だけでなく、相続・扶養・法人取引などの状況によって異なる税務リスクが潜んでいます。
この章では、親族間売買で起こりやすい税務上の注意点を、ケースごとに分かりやすくまとめて解説します。

ケース①:相続開始前後の売買

相続時期に近い不動産取引は、税務署から厳密にチェックされます。

  • ・相続税対策として「不当に安く売ったのでは?」と見られやすい
  • ・資産を移転する意図があると受け取られやすい
  • ・売却時期と相続開始時期が近いほど、価格の妥当性を厳しく見られる

 

相続に関連する売買を行うときは、税理士に相談しながら価格や手続きを進めることが重要です。

ケース②:同居や扶養している家族との売買

同居している家族や扶養に入っている親族との売買は、実際にお金のやり取りがあったのかを特にチェックされやすいケースです。

  • ・買主の収入で無理なく支払えるか
  • ・売主がローンの返済を実質的に負担していないか
  • ・名義変更後も売主が費用を負担し続けていないか

 

同居や扶養下での売買は、客観的な証拠がより強く求められるため、資金計画や実際の支払い状況を示せることが大切です。

ケース③:親族が経営する会社との売買

親族間だけでなく、「親族が経営する会社」との不動産売買にも税務面で注意が必要です。

  • ・法人と個人の取引で価格が不自然だと「利益移転」を疑われやすい
  • ・役員や株主に家族がいると、身内同士の取引と見られやすい

 

法人との取引は、個人同士の売買以上に厳密な価格の根拠が求められます。

贈与税以外でかかる税金

親族間売買でも、一般の不動産売買同様、さまざまな税金が発生することに注意が必要です。

発生する主な税金

  • ・譲渡所得税(売主):売却益が出た場合、所得税・住民税が課税される。
  • ・不動産取得税(買主):親族間売買でも取得税は必ず発生する。
  • ・登録免許税(買主・売主):名義変更や抵当権設定にかかる税金。
  • ・印紙税(双方):売買契約書を作成する際に必要な税金。

 

親族間売買に関するよくある質問

ここでは、親族間での売買で生じやすい疑問を整理し、知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。

どのくらい安くすると贈与と見なされる?

法律で明確な基準はありませんが、時価より2〜3割以上安い不動産売買は贈与と判断されやすいとされています。

税務署が注目するポイント

  • ・価格の根拠(査定書・公的価格)を提出できるか
  • ・値引きの理由が合理的か(老朽化、修繕不足、再建築不可など)
  • ・資金の流れに不自然な点がないか

 

例えば、時価3,000万円の物件を1,500万円で売った場合、差額1,500万円の説明ができなければ、贈与税の対象と判断される可能性があります。

親族間売買でも住宅ローンは利用できる?

親族間売買でも住宅ローンの利用は可能ですが、審査は通常より厳しくなります。
価格が適正か、取引に実態があるか、名義変更目的ではないかなどを金融機関が慎重に確認するためです。
住宅ローンを利用したい場合は、事前に親族間売買であることを伝えて相談することが重要です。

相続税対策として親族間売買は有効?

親族間売買は、状況によっては相続の負担を減らす方法として使えます。
ただし、安く売りすぎたりお金のやり取りが不明確だと、税務署から問題を指摘されることがあります。
そのため、時価に近い適正な価格で売買し、実際にお金が動いたことを証明できるようにしておくことが大切です。
トラブルを避けたい場合は、事前に税理士へ相談するのがおすすめです。

親族間で持分を売買してもみなし贈与になる?

持分売買でも価格が時価と乖離していれば贈与と判断される可能性があります。

注意すべきポイント

  • ・持分割合に応じた時価を算出しているか
  • ・持分の価値が合理的に計算されているか
  • ・実際に代金の授受が行われているか

 

持分は算定方法が特殊なため、時価の算定と代金のやり取りを証明できる状態にしておくことが重要です。

親族間売買の後に税務調査が入ることはある?

親族間売買でも税務調査が入る可能性はあります。特に価格が不自然だったり、お金の流れが曖昧な取引は調査されやすくなります。

調査が入りやすいケース

  • ・時価より大幅に安い売買
  • ・相続の前後に行われた売買
  • ・資金の出どころが不明
  • ・ローンの返済を親族が負担している
  • ・契約内容と実際の取引が一致しない

 

まとめ|親族間売買のリスクを避けるには早めに専門家へ相談を

親族間売買は、価格や資金の流れが不自然だと「みなし贈与」と判断され、課税されるリスクがあります。
適正価格での売買や専門家による事前チェックが取引を円滑に進めるためのポイントです。

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